ジャックのMAO島大脱出!
‡第9話‡
『決意』



町に戻ったジャックは依頼主のジョセルへチキンの肉を渡す。
「おお、これはいい肉だ。これで今夜はご馳走だお礼を受け取ってくれ」
満面の笑みをうかべ興奮気味に喋るジョセルから
報酬を受け取ったジャックは宿屋へと向った。

翌日、ジャックは故郷の町への帰還の為旅立ちの町を出る。
ここまでの冒険で学んだ多くの事を思い出す。
特に情報の大切さは身に沁みるほど感じたし、 先達達の経験談の大切さも感じた。
訓練時に師匠たる師範代が色々語ってくれた言葉を 当時の自分はここまで大切なものと理解できていなかったし、
『戦い』というものを随分と楽観視していた。
まったくもって恥ずかしい限りだ。

こうした物思いにふけりながらも、周囲への警戒を解かず、
遭遇するモンスターを倒しながらジャックは故郷たる始まりの町への帰還を果たした。

ジャックは故郷の町をなんとなく見渡す。
「なんだか随分と懐かしく感じるな」
町を出てまだそれほど経っていないのに、 そんな事を感じる自分にジャックは苦笑してしまう。
「まぁ、とにかく、まずは師匠のところに顔を出すとしますか」
考えをまとめたジャックは訓練所へと足を向けた。

「少しは良い目をするようになったのう」
訓練所で再会した師匠はジャックに向かってそう言う。
「色々ありまして……」
ジャックは苦笑しながら、通された部屋でこれまでの経緯を話す。
「ふむ。まぁ色々言いたい事もあるがの、 どうやら自分で感じ取っておるようじゃし、 わしから小言を言うのはやめておくかの」
ジャックの話を聞いた師匠はそう言った後、
「それよりも本題を話してみたらどうじゃ」
と、真剣な目つきで語る。
ジャックは流石は師匠だと思い口を開こうしたが、
「まぁ、恐らく進路の事じゃと思うがな」
と、先に師匠に言われてしまう。
「なんでわかったんですか?」
師匠は人の心でもよめるのか?と思いながらジャックは疑問を口にした。
「単純な話じゃよ。お主の今の力量ならば進路を決める頃じゃからの」
ジャックは溜息をついてしまう。
外見の雰囲気だけで力量を計れる事のどこが単純なのか・・・と。
「その通りなんですけどね・・・・・・」
ジャックは自分の考えを述べてみる。
「なるほどの。訓練時にも言ったとおり、 身体能力の面から見てもお主は戦士向きじゃ。
先程聞いた戦いの話から考えても間違い無いの」
師匠は淡々と語る。
それだけにその言葉が重く感じる。
「やはり盗賊は無理ですよね」
ジャックはわかっていたが確認の為に聞く。
「ふむ」
師匠たる師範代はジャックの意図に気がついた。
頭では納得していても心は未だ盗賊への未練がある。
だから納得する材料として断言して欲しいのだろう。
師匠として信頼してくれている事を素直に嬉しいと思う。
期待に応えてやらなければいけない。
「そうじゃな。お主は盗賊に向いておらん」
細かい事は今更語る必要は無い。
師範代はそう思い簡潔に言った。
それを聞いたジャックは、
「師範代、ありがとうございました。 これで吹っ切って戦士を目指す事ができます。」
そう答える。そしてその顔にはもう迷いは無く、
それを見た師範代も満足そうに頷く。
その後、少し雑談をした後ジャックは日が傾く前に実家へと向かう為、 訓練所をあとにしようとしたのだが、
師範代が門のところで声をかけた。
「ジャックよ、お主の父は怪我で引退する事になったが、 立派なナイトじゃった。
お主はその父を更に越えてみせよ。お主ならば出来るはずじゃ」
ジャックはその言葉を最高の激励と受け取り胸に刻む。
そして一礼し、実家への帰路についた。

盗賊への未練を完全に断ち切り戦士になる事を決意したジャックは、 今こそ父の経験談を是非聞きたいと感じていた。

帰宅したジャックに母は素直に喜び、父は、
「多少はマシな顔になったな」
そう言って家の中へ通してくれる。
父の性格を考えると、最悪門前払いの可能性もあったので 安堵するジャックであった。

ジャックは久しぶりの家庭の味を楽しみながら色々報告をした後、
自分が戦士を目指す事を父に伝え、 戦士としての心構え、戦闘方法、経験談等の教えを請うた。

父はジャックが盗賊ではなく戦士を選んだことを素直に喜び、
「もう盗賊に未練はないんだな」
と、問いかける。
それに対し無言で頷くジャックを見て父は様々なことを語る。
その後は、饒舌な父に驚きながらもジャックを一言一言を聞き漏らさないようにする。
そして、話は夜遅くまで続いたのだった。

翌朝、朝食を食べ終え再び旅へ出たジャック。
「レイモンドの職業案内所へ行け。
旅立ちの町から大陸への船が出ている。 港町コスタから北へ暫く行けばレイモンドだ」

父の教えてくれた情報を元にレイモンドを目指し、
旅立ちの町からお金を支払い船へと乗り込む。
暫くして、船の帆が上がり港から離れていく。
小さくなっていく故郷の島に少しさびしさを感じるものの、 知らない大陸への期待、希望が上回る。
心踊る自分を感じながらジャックは海を見続けるのだった。

ジャックのMAO島大脱出!【完】


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