ジャックのMAO島大脱出!
‡第7話‡
『先達の言葉』



疲労の蓄積の影響かジャックが目を覚ましたのは
宿で朝食がでる時間を過ぎていた。
「情報を集める前にどこかで腹ごしらえしよう」
そう思い、体を起こす。
すると昨日の怪我からは想像がつかないほど体が軽かった。
「値段は高いけど腕も一流って事か……」
一般の医師が治療したのならばこうはいかない。
治療をしてくれた医師とその助手に心の中で感謝をし ジャックは準備をすすめる。
2階から降りると宿屋の主に早々につかまった。
「お客さん、心配しましたよ」
昨日は気が回らなかったが、やや中年太りの人のよさそうな男だった。
その表情は決して営業スマイルなどではなく、有り余る感情を感じさせるものだった。
清算をしながら話を聞くと、主の子供も冒険者となり旅をしているそうで、
年齢も似通っている事から人事とは思えなかったそうだ。
そのせいか饒舌だった主だが、裏からやってきた女将さんに小突かれ
「また泊まって下さいよ」
と、言いながら仕事に戻っていく。
ジャックは苦笑いしながらまた泊まる事を約束し宿をあとにした。

ジャックは露店で手に入れたパンを食べながら町を歩き情報を集めた。
だが、思ったように良い情報は聞けない。
いずれもが身をもって体験してわかった事ばかりであった。
逆に言えば、最初から情報収集をしていれば痛い目に逢う事もなかったのではあるが……。
「やっぱり情報屋に行くべきだろうな」
そう考えたジャックが情報屋へ顔を出すと、
「いい面構えになったじゃねぇか」
情報屋の主はジャックを見るなりそう言った。
どう答えればよいか悩むジャックだったが、
「まぁ生き残れたんだから勉強と思っておきな」
立て続けに言われてしまう。
どうやら情報屋の主はどういう訳か事の顛末を知っているようだった。
「なんで知ってるんだ?って顔だな」
ニヤリと笑いながら言う主は種明かしをする。
「情報屋には数多くの冒険者がやってくるし、 この町近辺で起こった事はだいたい耳に入ってくる。
坊主の事も見ていた冒険者が話していったんだよ」
これを聞いたジャックは心の中で思った。
「それならなんで助けてくれないんだ」
主はそれを感じ取ったのか、厳しい顔つきになった。
そして大声で怒鳴りつける。
「甘ったれるな坊主!」
もう主の説教は止まらない。
それを見ていた他の冒険者達は、
「おやっさんの熱血指導がまたはじまったぜ」
「まぁ洗礼だな」
「今日はどこまで続くかな?」
などと、笑いながら声にする。
すると主はその方面に向けてガンを飛ばした。
「おっと、くわばらくわばら」
皆そう言って視線をそらす。
それを確認すると主は再びジャックに向けて説教を再開した。
「だから情報というものはだな……」

結局ジャックが開放されたのは日が傾きかけた頃だった。
「つ、疲れた……」
店を出ると肩を落としそう呟いてしまう。
他の冒険者達も経験した事があるのか、 同類哀れむといった感じで励ましてくれる。
そして、チキンやあの巨大なイノシシについても教えてくれた。
話によればまだジャックの腕では厳しいとの意見だった。
もう少し腕を磨き、装備を整え、 大陸にある転職所で門前払いされない程度になってから 挑むべき相手だという。
他にも様々なアドバイスを受けた後ジャックは礼を言い、 その場をあとにした。
そしてそのまま町を出ようと思ったのだが、
既に日は暮れており慎重を期してやめておく事にした。
「頭を使った後は休め。頭の疲労は体の疲労よりも怖い」
先程アドバイスしてくれた冒険者の言葉を思い出す。
「無理をする必要は無いよな」
そう思い宿へ向かう。
少し成長したジャックは闘志を内に秘め明日へ備え英気を養うのだった。



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